岡本太郎記念館
top
新着情報
exhibitions
現在の企画展 次回の企画展 過去の企画展一覧
information
明日の神話
岡本太郎現代芸術賞
岡本太郎関連書籍
利用案内岡本太郎記念館について
events

過去の企画展一覧
archives
岡本太郎年表
論評・コラム
アトリエ
リンク Taro cruise360°

『 P A V I L I O N 』

 

 

開 館 時 間 :10:00 - 18:00 (火曜日休館)

展 示 期 間 :2013年3月30日(土)〜7月28日(日)
 
僕たちは太郎も敏子も見たことがない
その事実を行き来すべく 
生の香りたつ思い出の家と
ゴミのように死を埋めたてた安息の墓場を
往復し続けてきた

両方に散らばる余計なもの全て
拾い上げては捨てていくために

それらが現代を汚す
しかし言葉を生み出すモチベーションのような
頷きたい人には社会問題のような
つまり芸術の糧であったとは思いもよらず

だからその全てを殺すなと言いたい
核や廃棄物や色や神話や忘却や世紀や墓や平和や戦争や
太郎とかチンポムとか作品とかいった名前の概念や
善や悪や数字や社会や倫理があるという必然や
その全てを生むなと言いたい

そんな矛盾からこそ生まれる芸術が
結局何もわからない生き物の本音であることを
心の底から願いながら

僕たちは
ゴミにも神にも石にもなって
何が言いたいのかまるでわからない
骨をじっと見続けている

Chim↑Pom 2013

 


2011年5月、岡本太郎生誕百年の真っ只中に事件は起きた。
何者かが『明日の神話』に煙を上げる福島第一原発を付け足したのだ。
社会部ネタとして全国に報道され、記念館にも取材が殺到した。

記事のトーンはいずれも「悪質ないたずら」だった。
だが一見して壁画と太郎に敬意を払っていることがわかる。
それはあきらかに悪ふざけではなく表現だった。
だからぼくは、太郎サイドの「怒りの声」を期待する取材に対して、一貫して「いたずらと切り捨てるべきではない」と言い続けた。

騒動に巻き込まれながら、「これをやったゲリラを正規のリングに立たせたら、いったいなにをするのだろう」と想像した。オフィシャルなフィールドにステージを用意し、正々堂々、正面から太郎にぶつけてみたい。そう思ったのである。

やがてChim↑Pomの仕業とわかる。
ぼくは彼らについてなにも知らなかったのだが、後日じっくり話しあう機会を得た。
そしていつかアイデアを決行しようと腹を決めた。

太郎の聖地をコラボレーション作品で埋め、数ヶ月にわたる評価に晒される。
それはゲリラよりはるかに難しい仕事だ。注がれる視線も甘くはないだろう。
だがあの一件で世間を騒がせた彼らにはそのリスクを引き受ける責務がある。

こうしてこの展覧会ができた。
記念館がこれまでに経験したことのない気配に包まれている。
いまは無き芸術家と正面から格闘しようとした若い想像力の軌跡を見てほしい。
そこにあるのは悪ふざけでも賛美でもない岡本太郎との真摯な対話だ。

むろんChim↑Pomと組む以上はこちらにも覚悟が要る。
刺激的な作品には賛否あるだろう。あるいはふたたび物議をかもすかもしれない。
彼らと等しく館も責任を引き受けるつもりだ。

 

岡本太郎記念館館長 平野暁臣

Chim↑Pom(チン↑ポム)
2005年に東京で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品を次々と発表。映像作品を中心に、インスタレーション、パフォーマンスなど、メディアを自在に横断しながら表現している。東京をベースに活動しながら、世界中の展覧会に参加、海外でもさまざまなプロジェクトを展開。近年はさらに活動の範囲を広げ、美術専門誌監修や展覧会キュレーションなども行う。著作に『Chim↑Pom作品集』(河出書房新社、2010年)、『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、無人島プロダクション、2009年)、『芸術実行犯』(朝日出版社、2012年)、『SUPER RAT』(パルコ出版、2012年)がある。
http://chimpom.jp/

 

 

 

Chim↑Pom≪殺すな≫2013年 書:岡本太郎 1967年 

 
All right reserved TARO OKAMOTO MUSEUM of ART,KAWASAKI